カツオは縁起物

カツオは縁起物

初物が良いとされてた江戸時代で縁起物として初鰹が重宝されていました。
4月上旬~6月ごろまでに黒潮の暖流にのってきたものを初鰹と呼びます。戻りかつおに比べると身が締まって脂は少なく、個体は小さいです。

カツオの縁起物と呼ばれる所以は鰹節の切り口が松の木の年輪に似ていることが由来という説があります。松の木の年輪に似ていることから、松魚→カツオと呼ばれています。松魚はカツオと読むことに驚きです。
カツオといえば「鰹」の字ですが、鰹の文字が使われている理由は、傷みやすい魚なので鎌倉時代以前は生で食べることができず、干して堅くしていたからです。生食されるようになったのは鎌倉時代以降で、それ以前は、堅くなるまで干してから食用としていたことから「カタウオ(堅魚)」と呼ばれるようになり、それが略されて「カツオ」と呼ばれるようになったようです。またカツオは堅魚の二字だったものが時代が進むにつれ鰹という漢字に変化したとも言われています。

また「勝魚」「勝男節」とも呼ばれ昔から縁起が良いものとされ、祝儀・中元・歳暮の贈り物として使われていたようです。その理由の一つとして北条氏綱(うじつな)が1537年の夏に、小田原沖で酒宴をしているときに船上にカツオが飛び込んだことから「勝つ魚」だと喜び、その後の出陣の際には「勝負にカツオ」として酒肴に用いたともいい伝えがあります。『北条五代記より』
かつお節は縁起物としてとくに武家で珍重され、正月には甲冑の前に供えられたり、「勝男武士」「松魚節」の名で祝いの代表的な贈答品とされたようです。

カツオには雌節と雄節があります。雌節(めぶし)とは鰹節の腹側です。腹節と呼ばれることもあります。反対に背中側を雄節(おぶし)といい背節とも呼ばれます。
雄節と雌節を合わせると夫婦一対となり、縁起の良いものとされ『結婚式の引出物』としても良く使われているそうです。結納や結婚式では、『かつお節』は欠かせない存在とされてきました。

静岡県の伊豆地方では『潮かつお』という加工品を正月に食べる風習があるといいます。塩鮭のようなものかつおを塩と乾燥による保存食の加工品です。食べ方としては切り身して炙って食べたり、お茶漬けの具として食べたり塩鮭と同じような食べ方をします。名正月魚とも言われ、古来より縁起のよい食として正月神棚にお供えした保存食だそうです。各地では「正月魚」や「年取り魚」とよばれ昔から縁起物として大晦日から正月に魚を食べてきました。西日本ではブリ、東日本は鮭、静岡では『潮カツオ』です。このようにカツオは古くから縁起物として日本で昔から重宝されてきた歴史があります。

ブログに戻る